32にもなって人生で一番おもしろいゲームを見つけた

「一番好きな◯◯」って結構決めるの難しいじゃないですか。

 

例えば一番好きな食べものはと聞かれたらカレーかうなぎかとか悩むし、一番おもしろい漫画はと言われたら寄生獣かピンポンかとかで悩んだりするんですよね。そのときどきの気分によって違うし、ジャンルがちょっと違う方向性でどれも最高だろって思ってしまう。

ゲームの話をすると、例えば今までやったRPGで何が一番おもしろいかって言われてもクロノトリガーとかかなり人気だけどゼノギアスもおもしろいしファイナルファンタジーⅤとかもおもしろいし票が割れると思うんですよね。一般的に。

 

でも、プレイステーション3で何のゲームが一番おもしろいかって話になると、ウェブ上で見る限りだいたいこれって集約されるゲームがあって、それが「ラスト・オブ・アス」。結論から言うと、自分もこれが最高におもしろかったです。普段ゲームをやっている人からすると32周回遅れぐらいの話題ですが。

 

 

ちなみにどれぐらい世界的に評価されている200以上の世界中のゲームメディアでその年のゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞していて、史上最多だそうです。

やってみる前までは不思議だったんですよね。個人個人の趣味嗜好が違う中で、数多あるゲームの中で、なぜこのゲームがこんなに全員に評価されているのかと。

やってみた感想としては、この評価は全て誇張ではなく真実であるということ。これはテレビゲームが長年突き詰めていったバーチャル世界への没入といったテーマへの、一つの到達点だと思うのです。

 

ストーリーは、いわゆるゾンビもの。原因不明のウイルスが蔓延し文明が崩壊して細々と人類が生きる中で、主人公のおっさんが少女と出会い、二人でたくましく旅をしていく話。

なんつーありきたり。耳にクラーケンができそうな感じです。しかしこのありきたりが逆に良い。ありきたりであるということはそれだけ万人に受け入れられやすい根源的なおもしろさを持っていて、ありきたりであるからこそあまり説明をなくしてもシーンの背景を共有しやすい。

ゲームシステムはゾンビに隠れながら物資を拾ったりしながら目的地まで行くって感じのいわゆるTPS(キャラの後ろからの視点で銃を撃ったりするゲーム)。これがめちゃくちゃ作りこまれたビジュアルとゾンビがめちゃ強い&主人公はすぐ死ぬのと合わさって、緊張感が半端ない。

 

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↑めちゃくちゃきれい。ムービーシーンとゲームシーンの継ぎ目がわかんない。

 

また、ありきたりでありながらストーリーのクオリティはめちゃくちゃ高いです。映画化の話も進んでいるらしいですが、僕は今まで見たどのゾンビ映画よりもきれいに纏まっていると思いました。ほんの少しのネタバレを挟むと、この映画は徹頭徹尾主人公のおっさん視点で進んでいくんですね。なので、なんでウイルスが広まったかとか世界がどうなっているかとかが、おっさんの見える範囲でしか語られず、もっと言うと結末を迎えても世界がどうなるかが描かれない。普通のゾンビ映画って、結構説明過多だったり、軍が内緒で作っていたウイルスが原因だとか結局ワクチンが出来て世界が救われたりとかするんですが。

 

僕が何が一番このゲームが素晴らしいか、成功しているかといったら、ゲームでしか体験できないところです。このラストオブアスの世界は。 

ストーリーはおっさんと生意気な少女が出会って、旅を通してだんだんと二人が仲良くなっていって、過酷な世界でまるで親子のような絆を作っていく。映画の「レオン」に似ているとよく例えられます。しかし、映画では決定的に体験できないのが、プレイヤーがおっさんを動かして15時間プレイすることによる、ちゃんと長い時間いろいろなハードルを乗り越えてきたという体験。映画だとどうしても2時間ぐらいになっちゃいますから。

これは僕が子供の頃やっていたRPGとかでも思っていたのですが、例えばドラクエとかって30時間ぐらい旅をする中で、プレイヤーとしてすごいいろんな体験をして、世界を救う旅に対してすごく思い入れが出来るんですよね。でも、同じことを映画でやろうと思ったらロード・オブ・ザ・リングぐらいの大作にしないと相応の思い入れが作れない。漫画でやろうと思ったらダイの大冒険ぐらいでしか成功してない。そこが、ゲームの他のメディアとの違う所だと思うんです。

しかしながら、ゲームってある程度ゲームとしておもしろくしなきゃならない部分と、ストーリーを追わせる部分で分けないといけません。例えばドラクエだと歩いているフィールドマップと戦闘シーンで切り替わっていたり、まぁ、そういうゲームシステムなのでしょうがないですが。けれどもこのラストオブアスだと、ムービーシーンもゲームのシーンも全て地続きで、おっさんがやられそうなときに少女が助けてくれたりその逆もあったり、だんだんとプレイヤーのプレースタイル(おっさんお動き)に少女が学習して似た動きをしてきたり。そうすると最初に生意気だった少女をプレイヤーが愛おしく思う心の動きが、まさに主人公のおっさんと完全にマッチするのです。

 

というわけで、今から普段ゲームをやっていない人でも昔ゲーム好きだった人とかは、今すぐプレイステーション3を買ってラストオブアスを買って2万円ぐらい使っても我が生涯に一片の悔いなしぐらいな感じには素晴らしい作品です。