小説「人狼ゲーム〜人事の悪夢〜」を読んだ!

大ヒット人狼アプリである、「人狼ゲーム〜牢獄の悪夢〜」の作者が書いた小説「人狼ゲーム〜人事の悪夢〜」を読みました!

人狼ゲーム~人事の悪夢~

人狼ゲーム~人事の悪夢~


適当なあらすじ

ベンチャー企業の社長が死んだけど、その遺言で残った社員8名が人狼ゲームをして、優勝者が社長をすることになった!みんな社長になりたいし派閥とかもあるから、さぁ大変!


感想

この手の人狼を題材にした小説は 、人狼の世界観を現実に持ち込んで、ゲームで死んだらその人は実際に死ぬ、という設定をしているものが多いんですが、この小説では実際には死にません。そこが斬新。

人狼ゲームを実際に死ぬものとしてやっちゃうと、戦略が大きく変わっちゃうんですよね。死ぬの嫌だから。

その点、この小説はしっかり人狼しています。人狼の部分と社内の派閥争いという物語的な部分をきっちり分けているんですね。なので、人狼らしい雰囲気だけの人狼小説と違って、人狼好きも納得できる内容になっているかと思います。ここが非常にうまい。

(ただ、この物語でも生き残ったり活躍したほうが評価が高い、という若干中途半端な部分はありますが。)


小説としては割と人狼ゲームに馴染みがない人向けで、戦略もオーソドックスだと思うんですが、その説明であったり心理的な部分の小ネタがうまいです。例えば「愚民は多数決では勝てない」とか。ここらへんは人狼を題材にむしろ現実社会で起こりうるいろいろな状況を分析していて、おもしろい。普通の人狼小説が、現実社会を人狼ゲームに当てはめているのに対して、人狼ゲームを現実社会に当てはめるという真逆のアプローチですね。


ただ一つ残念なところを挙げるなら、もっと人狼玄人向けの展開にして欲しかったです…!毎回人狼の小説って、初心者が人狼をやるという設定なので、経験者からするとバカばっかりに見えるんですよね。全員人狼経験者が人狼をやるゲームのほうがおもしろそうなんだけどなぁ。そうすると書籍としては対象読書が少な過ぎてダメなんでしょうか。

あと、帯に書かれているような「10年代のコミュニケーション格差」とかいうのはずれてると思いまして、そんな重い内容じゃありません。人物設定とか背景は、若干テンプレ的でした。


紙の本ってやっぱりいいね

この小説は電子書籍で販売されていないため、久しぶりに紙の本を読んだんですが、いいですね、紙。

最近はもっぱらKindleでばかり本を読んでいたんですけど、こういう謎解きがある本だと、結構登場人物の確認とかで前のページに遡るじゃないですか。あれがKindle含め電子書籍だとすこぶるやりにくい。

この本は、きちんとゲームの状況を図で示してくれるので、展開の確認がしやすいです。

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まとめ

人狼に興味があるけどあんまりやったことのない人に、特にオススメです。