最近読んだ本まとめ

最近、Kindle Unlimitedに契約してからたくさん本を読むようになりました。その中でおもしろかったものだけ、忘れないように記録しておきます。

 

オール・ユー・ニード・イズ・吉良

タイトルが完全に出落ちかと思いきや、思いの外おもしろかったです。日本人が大好きな「忠臣蔵」の悪役・吉良上野介義央が映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のように何度も死ぬ度に同じ朝に目を覚まし、生き延びる策を模索する話。

元々は「小説家になろう」に投稿されていた小説で、著者はそれを加筆してKindle自費出版したようです。なので、表紙がアレなのはご愛嬌。

この小説の中で吉良は合計数百回の同じ日を繰り返すことになるんですが、こういう同じ日を繰り返すもの(このジャンルなんて呼べばいいんだろう)のツボをきちんと抑えています。それは、「読者の予想のちょうど良いタイミングで先を行くこと」。この物語でも、「暗殺されるならその前に逃げればいいだろ」とか「吉良邸に人いるんだからちゃんと戦えばいいだろ」とか、読者が思いつくことをちゃんと先回りして、吉良は確かめてくれます(そして死にます)。

誰もが知っている歴史上の悪役が主人公というのも良いですね。当たり前ですが、彼にもいろいろあったようです。

 

プロパガンダゲーム

プロパガンダ・ゲーム(16年版)

プロパガンダ・ゲーム(16年版)

 

いつか映画化されそうだな、と思う小説でした。

大手広告代理店・電央堂の最終選考では、男女8人で「政府側」と「レジスタンス側」の2チームに分かれて、仮想空間(SNS)上で戦争の賛否に関してプロパガンダを行います。二時間の中で、それぞれのチームはポイントを使って情報を入手し、それを元に自チームが有利になるようにSNS上の民衆を扇動していきます。

ゲーム上の仮想国家は「パレット」なんですが、あからさまに日本なんですね。そして、戦争をしかける対象の隣国「イーゼル」は明らかに北朝鮮戦争賛成か反対かなんて今の日本で展開しても反対の主張が通るに決まっているだろ、と思いきや、「プロパガンダってこうやるのか!」となるほどと思うような展開でした。

読んでから二週間ぐらい経ちますが、印象に残っているのは以下の2点。

  • 戦争を行おうとプロパガンダをするときに、「平和」を訴求するのは常套句。世界中の戦争は、自国は「平和を取り戻すため〜」とか主張して行われる。
  • 「平和」より「戦争」のほうが具体的な状況がイメージしやすい。

表現次第で、正しいも正しくないも分からなくなるものなんだなぁと改めて思いました。オチもきれいにまとまっていました。

 

天空城殺人事件: ~もしRPGの世界で殺人事件が起こったら。~

タイトルのとおり、「もしRPGの世界で殺人事件が起こったら」というミステリーです。最初は世界設定に関する情報量が多すぎてどう楽しめば良いのか分からなかったんですが、「ミステリーのアリバイや殺人方法がRPGになったんだな」と理解してからは楽しく読めました。例えば、凶器が鋭利な刃物だった場合、「格闘家は武器を装備できないから犯人じゃない!」とか。

普段僕はほとんどミステリーは読まないので好きな人には邪道に感じるのかも?しかし、ドラクエ世代としては純粋におもしろかったです。トリックも頑張れば分かる範囲かと。

 

 

左遷社員池田 リーダーになる:昨日の会社、今日の仕事、明日の自分

左遷社員池田 リーダーになる: 昨日の会社、今日の仕事、明日の自分 (ビジネス小説)
 

老舗ドレッシングメーカーで企画部から左遷された主人公・池田が、会社を去った前社長の元で修行を積みながら、リーダーというものについて学ぶお話。社長の世代交代に伴って社内が分裂していく中で、中堅社員である主人公がどう主体的に行動し、会社を変えていくかがめちゃくちゃおもしろいです。内容も分かりやすいので、一冊一気に読めます。

Amazonですごい高評価。「リーダーシップについて学べる!」とか「ビジネス界が絶賛!」とか書いてありますが、僕はその点に関しては島耕作ぐらいな感じで捉えています。ちょっと誇張とご都合主義が強い感じ。

登場人物の性格や話の展開は類型化されているのですが、しかしそれがリアリティがあります。著者は野村證券の元支店長、SCSKの元副社長だったんですね。さすが。