私たちが信じたいもの(自然派編)

先週のジャンプだったかな?「トリコ」って漫画で、ちょっと突っ込みを入れたくなったので、ここに書きます。

(かなりうろ覚え)
グルメ騎士の団長が病気になっていて、滝丸君が薬を持ってくるんですけど、団長は受け取るのを拒否するんですよ。
団長は、自然からできたもの?しか口にしないらしく、化学薬品は摂らない主義なんです。

しかし、滝丸君は
「大丈夫です!これは自然からできたもので作った薬です!」
みたいなことを言う。
団長、安心して薬を摂る。

・・・なーんじゃそれー!





自然でできたものだとか天然ものだとか化合物だとか人工物だとか。

昔、僕は母親からよく言われていたことに、
「化学物質はよくない」
食品添加物はよくない」
というものがあります。

僕は、子供ながらにこれを聞いたとき、
「化学物質ってなんだ???」
と疑問を抱きました。

母親が言うには、食品は
1.天然物質、無添加、自然にそのままある食品
2.化学物質、人工添加物
の2つに分けられて、2は自然にないものを人間が作ったので、どうやら体と相性が悪いらしいのです。



「でもでも、この世のすべては分子がくっついた化合物でできていて、それが人間が組み合わせたものか自然の力で組み合わさったものかなんて区別できるの・・・?」



さて、もう僕の言いたいことなんて、すべて以下のリンクで集約されてしまうんですけどね。
http://blog.livedoor.jp/route408/archives/51571404.html

(引用)
「筆者は製薬企業で様々な化合物の生理作用と体内動態を見る研究を長年続けてきましたが、天然由来だから分解しやすい、人工だから蓄積するなどということは全くありません。「分子量が小さいため分解されにくい」というのも意味不明です。

薬の場合、ある程度体内にとどまってもらわないと効果が出ませんが、代謝機能というものは実によくできていて、たいていの化合物を景気よく処理分解し、体外に放り出してくれます。何とか少しでも半減期を長く、といろいろな工夫して作った化合物がすぽーんと一瞬で排泄され、「またダメか」と頭を抱えるという経験を筆者は山ほどしてきました。もちろんこれには人工も天然もありません。人体の細胞には化合物が天然か人工かを見分ける機能などついていませんし、そもそも両者の境界はあいまいなものです。

(中略)

要するに化合物の生理作用というものは個々の物質によって大きく変化するので、天然だの人工だのという大ざっぱなくくりで論じることは不可能なのです。しかし「天然」「自然」という言葉は耳障りがよく、こちらを選びたくなるのが人情なのですね。」



まとめると、
・化学物質(天然にはない物質という意味で)と天然物質の区別なんて明確にできません。
・化学物質のほうが天然物質より体に悪いなんてことはありません。



なんでか、人間というものは自然と人間を区別したり、自然にあるものはなんでも人間の見方で科学は悪だと考えがちです。
天動説を信じていたルネサンス時代から変わらないレベルで、迷信を信じています。

自然は、というかこの世界は、「人間がつくったもの」と「自然がつくったもの」をきちんと線引きなんてしていません。人間がつくったものが自然がつくったものと違うだなんて、なんておこがましい!