真木よう子がアカデミー主演女優賞!映画「さよなら渓谷」を見た。

「さよなら渓谷」を見ました!

先日の日本アカデミー賞では、この映画で真木よう子が最優秀主演女優賞だったようで。さらに「そして父になる」で最優秀助演女優賞だったので、W受賞とのことで、すごいですね!

原作が「悪人」や「横道世之介」の吉田修一。どちらもすこぶる評判の良い映画だったので、前々から気になっていて、今回見てみました。けして真木よう子の濡れ場が多いと聞いたからではありません。けして。けして。。。

 

ところで、なんで女優が濡れ場を演じると体当たりの演技って言うんでしょうね。あれ誰が言い始めたんでしょうか。

 

 

あらすじ

尾崎俊介大西信満)と妻のかなこ(真木よう子)は、都会から離れた緑豊かな渓谷で暮らしていた。そんな長閑な町で起こった幼児殺害事件は、その実母が実行犯として逮捕されるというショッキングな結末で収束に向かっていた。しかし、事件は一つの通報により新たな展開を見せる。容疑者である母親と俊介が以前から不倫関係にあり、共犯者として俊介に嫌疑がかけられたのだ。そしてこの通報をしたのは、妻のかなこであった。 なぜ、妻は夫に罪を着せたのか。

事件の取材を続けていた週刊誌記者の渡辺(大森南朋)は、必要以上の生活用品も持たず、まるで何かから隠れるようなふたりの暮らしに疑問を抱く。そして、衝撃の事実を知る。15年前に起きた残酷な事件の加害者が俊介であり、かなこが被害者だったのだ。果たしてこの関係は憎しみか、償いか、それとも愛なのか。

※上記のあらすじは公式サイトから抜粋したんですが、ネタバレすごいですね・・・ 

 


映画『さよなら渓谷』予告編 - YouTube

 

感想

 なんとなく、真木よう子+渓谷と来ると映画「ゆれる」の印象が強すぎて、もう不幸が渦巻く感じしかしませんが、予想通り鬱っぽいムードがやばいです。

 

なんか普通じゃない空気の夫婦。セックスばっかりしてるんだけど、夫はどこかよそよそしく、妻もなんだか表情が薄い。おまけに隣の家では殺人事件が起こって、なんなんだこりゃ?と思いながら話が進んでいきます。

物語の半分ぐらいまでは謎が多すぎてあまり動きがなく、割りと退屈な時間を過ごすことになるでしょう。眠いです。しかし、それを見越してか要所要所で真木よう子の濡れ場が挟まるので、それが薄れゆく意識をつなぎとめることになるでしょう。この監督、策士。

中盤からはようやく謎が解け、この夫婦はどういう関係か、なぜ一緒にいるのかが明かされてきて、そこからはグイグイ引きこまれます。

 

最大の謎は、この2人がなぜ一緒にいるのかということ。事件の加害者と被害者が一緒に暮らすというと、単なるストックホルム症候群かと思いきや、そうではありません。かなこは、「私たちは、幸せになるために一緒にいるんじゃない」と言いますが、僕は最後までよく分かりませんでした。理解はできても、納得出来ない感じ。ラストにかなこが取った行動も、僕は納得できなかった。 この2人の関係はとても複雑な経緯があって、作中の数日の間にも変化があるんですが、それでも僕は、そんな複雑に物事を考えなくてもなぁと思ってしまうのです。

 

個人的な意見としては、主演の真木よう子もすごいけど、それより夫役の大西信満の演技のほうがはるかにヤバイです。

妻のかなこに対して、過去の事件で申し訳なさを持っていながらも愛していて、どこまでも強く守る覚悟を持っている、というなんかめちゃくちゃ複雑な立ち位置なんですが、それを絶妙に表現しています。ちょっと腰が引けているけど、目はちゃんと相手を見ている感じ。あの人がそういう演技を序盤からずっと続けているおかげで、見ている人はこの夫婦に対して、何も語られていないうちからいろいろな憶測を生むことができるんですね。この人、もっと評価されてもいいのになぁ。

 

評価

60点(100点満点中)

 

さよなら渓谷 [DVD]

さよなら渓谷 [DVD]