映画「人狼ゲーム」はバトロワ系映画の中でも屈指の出来栄えだった!

映画「人狼ゲーム」を観ました!

予想をはるかに裏切り、めちゃくちゃ面白かったです!

ステマではありません!

 

 

あらすじ

高校2年生の仁科愛梨(桜庭ななみ)は、帰り道で突然何者かに拉致され、気が付くと10人の男女が円形に横たわっていた。一同は不可解な状況に戸惑うが、村人と村人に化けた人狼に分かれ相手チームを全滅させる「人狼ゲーム」に強制的に参加させられることに。彼らはなぜここに集められたのか理由もわからぬまま、生死を懸けたゲームに巻き込まれていく。


桜庭ななみ主演 映画「人狼ゲーム」予告編 - YouTube

 

※そもそも、人狼ゲームについてわからない方はこちら。

 汝は人狼なりや? - Wikipedia

 

感想

どうせ最近人狼が流行ってるからそれに乗っかっただけの安っぽい映画だろうなーと思ってました。多いんですよね、日本映画でそういうの。特にホラー映画とかってキャーキャー叫んでれば演技力無くてもバレにくいし。しかも、バトルロワイヤル以降増えた、若者がみんなで殺し合う系。これだと微妙な売り出し中の役者をごった煮でセット販売できるから使いやすいみたいで。そういう力入っていないお気楽映画でクソつまんないんだろうなーでも人狼好きとしては一応観ておくかー、ぐらいで全く期待してなかったら、すごかった。

 

まず最初にどれぐらい面白かったかというと、バトルロワイヤル、インシテミルハンガー・ゲーム、とかそういう殺し合う系の映画の中では、これまで観た中で一番おもしろかったです!

 

ストーリーの展開としては、よくある感じで、さらわれる→閉じられた空間で殺し合い→みんなオタオタしてる→だんだん犯人(人狼)が分かってくる という流れ。そこは見飽きた感じですが、何がすごいって役者の演技がすごい。安いアイドル映画かと見くびってたけど、かなり気合いが入ってます!特に主演の桜庭ななみと助演の太賀(桐島に出てたバレー部の小さい男)とか脇役の男たちが良いです。

桜庭ななみはよくある良い子ちゃん主人公キャラで、終盤までずっとイライラしっぱなしだったんですが、それも脚本の策略でした。終盤はネジがぶっ飛んだ感じで、とても冷たく乾いた表情をしてくれるので、そのギャップが見事です。

また、この物語のポイントはよくある殺し合い系の映画と違って、昼に投票して最多得票者が決まったら、みんなできっちりその人を殺さなければならないところです。その様子は、テンション高いまま誰かを殺すバトルロワイヤルとかより、相当エグい。なぜかって、みんな普通に話し合って指差しあって、その後にさぁ、あと30分で殺そう!って不自然なシチュエーションになるからです。たぶん殺される側も、突然殺されるよりタチが悪い。今まで一緒に話してた人から「殺されるのを待つ」という不条理。しかも逃げようにも、逃げる場所はないしルールに従わなくても全員このゲームの主催者に殺されるだけ。みんな発狂したり、震えながら失禁したりと、そこの演技はかなりリアリティを求められるんですが、 きちんとカバーできる演技力を持った役者が揃っています。

また、舞台はほぼ学校の一室のみ、特殊な大道具もなく、BGMはラストまで一切流れない、という まるで舞台みたいな演技力と脚本のみに頼った直球勝負の構成なんですが、きちんと自信があってやってるのでしょう、最後まで全く退屈することなく、映画の世界に没入することができました。

 

話の内容としては、ところどころよく分からないところがあったり、「おまえらさらわれてきたのに冷静すぎだろ」「そのくせ丸一日あるならもっと試すことあるだろ」とかアラも目立つんですが、全体の出来栄えからすると及第点。ただ、人狼が好きな人からすると、ロジック合戦とか心理的な駆け引きとかはほぼ皆無でしたので、そこはちょっと物足りないかなーとも思います。その分、この映画では殺し合いとか疑心暗鬼とかの心理を突き詰めてるので、あくまで人狼を題材にした優れたサスペンス映画として傑作でした。

 

ちょっと人狼的な話

一つ注文を付けるとしたら、人狼ゲームってゲーム上死んだ人がリアルで死ぬ、というルールにしてしまうと、全く違うゲームになっちゃうんですよね。

なんでかっていうと、人狼ゲームは本来、「自分が死んでも自分の陣営が勝てば良い」というものなので、往々にして自ら死にに行くんですよね。例えば予言者とかだと、カミングアウトするのは村人に情報を与えることだけども、自分はその次の晩に人狼に殺されやすくなる。

なので、リアルだったら予言者は絶対カミングアウトしないと思うんです。

ただ、この映画の見事だったのは、映画の中では状況設定の上手さで、事実上上記の問題点が発生しないようにできていました。

ここまで考えて作り込んでるのかは知りませんが。

 

評価

70点(100点満点中)