映画『告白』は教育的映画ではないよ
金曜の夜、話題の映画『告白』を一人で観に行ってきました。レイトショーで、しかも一人で観て帰る映画ではない、なかなかのグロ映画。
あらすじ
ある中学校の1年B組、37人の13歳がいる雑然とした教室。終業式後のホームルームで教壇にたった担当の森口悠子は「私の娘が死亡しました。このクラスの生徒に殺されたのです」と衝撃の告白を始め、教室は静寂に包まれる。(ぴあより)
感想
観る前の印象としては、子供を殺された教師が生徒に復讐をするか否かの葛藤とか、命の重さだとか罪と罰だとかそういうのを語った教育的映画かと思ったけど、全然そんなんじゃない娯楽映画でびっくりしました!社会派サスペンスかと思ったらホラー映画でした。
最初から最後まで、出てくるのは異常者ばかり。復讐の鬼と化した松たか子。自分の子供を愛してやまないが、その溺愛っぷりが狂っている木村佳乃。熱血過ぎて空気が読めていない教師の岡田将生。その他、いじめ大好きな生徒たちややたら残酷な犯人。
彼らにまったく共感できず、周りにもこんなやつ見たことない。社会派サスペンスだったら、「あー、こんなやついるいる!」っていう共感から問題提起を図るところだけど、そんなことは全然ない。しかし、だからこそ面白い。よく練られたストーリーテリングとキャラクター設定を楽しむ、ある意味ファンタジー映画。
普通、創作物っていうのは一つだけフィクションを入れて、それ以外をトコトンリアルを追求するのが王道なわけです。しかし、こうも出るキャラ出るキャラぶっ飛んでいると、とても新鮮。学級崩壊とかをテーマにした深刻な作品かと思ったら、ステレオタイプな「学校」をモチーフとしたファンタジーでした。それは、例えば漫画(映画)「クローズ」がステレオタイプなヤンキーという、現在過去未来どこにもいない人種を扱った、ある種のファンタジーというのに似てる。
似たような、「社会派サスペンスかと思ったら…」映画といえば、『処刑人』ってのを見たことがあります。
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そんな調子で、どこにもいねーだろっていう復讐の鬼が殺人鬼の犯人にどう仕返しするのか?を楽しむ話。彼らが現実に存在しないもんだから、十分にその巧みな物語構成を楽しめるし、復讐シーンでも、「いいぞー、もっとやれー!」と爽やかにノっていける。そんな映画でした。