「どーせむり」を乗り越える。「ビリギャル」はそんな話。

映画の「ビリギャル」がすこぶる良かったです。

映画 ビリギャル DVD スタンダード・エディション

なんとなく、このポスターの雰囲気とか清楚系代表女優の人気絶頂・有村架純がギャル役という、この狙い過ぎ感がいかにも「安っぽい」と見えてしまうのは僕だけでしょうか。

いかにも邦画のダメな感じのセオリーに則ってる感がプンプンするというか…

 

しかし、そんな大方の予想に反してすごく良かったよ!

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あらすじは至って単純。偏差値30台のギャルがまじめに勉強して慶應義塾大学に入学するというお話。

この映画の見る前の予想「安っぽい」が当たっているかどうかでいうと、残念ながら当たっているのです。ちょっと寒いコメディがありそうとか、どうせ最後は合格してハッピーエンドなんだろうってのも当たっています。途中主人公がちょっと挫折するんだろうとか、周囲にバカにされつつも頑張って見返すんだろうとかも当たってます。見る前に予想されるシーンがことごとく展開されるので、自分が超能力者にでもなったかと思える映画です。

しかし、ただ一つ予想と違ったこと。それが、すごく「アツい」映画ってことなんです。

 

この映画、見る前はドラゴン桜みたいな「うまく頭を使って受験を乗り切る」みたいなハウツーの面白さなのかと思っていたら、そうじゃなかった。どっちかっていうと「困難を根性で乗り切る」という話です。

これは題材が受験ではあるものの、別に受験じゃなくても良い普遍的なテーマです。「ビリギャル」+「受験」というのはただ単にキャッチーなテーマにしたかっただけで、その本質は「無理と思われたことを乗り越える話」です。それは誰にでも関心・経験がある事柄だと思います。

 

この物語をもう少し語ろうと思ったときに、どうしても僕はこの人のスピーチを思い出してしまってうまく語れません。なぜなら、言いたいことをすべてこの人が言ってしまっているからです。「この人」というのは、TEDxの名スピーチで有名になった植松努さん。ロケットを宇宙に飛ばしている人です。超名スピーチ。


Hope invites | Tsutomu Uematsu | TEDxSapporo

 

20分あるので、テキストで確認したい方はこちら。

「どうせ無理」は、ラクしたいから 宇宙へ挑む男が語る、自信の育て方・奪い方 - ログミー

 

植松さんはこんなようなことを言っています。

 

僕は小学校に上がってすぐに担任の先生にものすごく嫌われたんです。僕が信じていたことやばあちゃんが教えてくれた事は全部否定されました。僕の夢は、お前なんかができるわけがないとさんざん言われました。じいちゃんが撫でてくれた頭を先生に散々殴られました。とっても辛かったです。でも、それを助けてくれる大人はいなかったです。僕はその先生が言った言葉を忘れていませんでした。その先生は「どうせ無理」という言葉をよく使っていたんです。このどうせ無理という言葉が恐ろしい言葉なんだなと思いました。これは人間の自信と可能性を奪ってしまう最悪の言葉です。でも、とっても簡単な言葉なんです。これを唱えるだけで何もせずに済んでしまうから、とってもらくちんになれる恐ろしい言葉でもあるんです。こんな言葉で未来を諦めさせられてしまった人たちは自信を失ってしまうんです。でも人間は生きていくためにはどうしても自信が必要なんです。
今、アフリカでは自分なんて勉強したって無駄だ、努力したって無駄だって、自分の未来や可能性を諦めてしまった人たちが最後には人を殺して奪うようになるんだそうです。なぜならば、頑張れないから生み出せないから奪うしかないんです。暴力で奪うこともできます。でも、他にも嘘をついたり、弱いフリをしたり、騙したりして、奪うことをもできるんです。皆が奪ってしまったら社会なんか成立しないんです。僕はこの「どうせ無理」という言葉の恐ろしさを知ることができました。 
僕は、「どうせ無理」という言葉を無くそうと思いました。これが無くなったらいじめや暴力や戦争がなくなるかもしれない。児童虐待もなくなるかもしれないと思いました。だから、僕は誰もがどうせ無理だと思っている宇宙開発をしてみようと思ったんです。

 

まんま、このまんまなんです、この映画は!なんなら、この人のスピーチが原作かってぐらい、こんな話です。

主人公のビリギャルは最初は誰からも期待されず、「どうせ無理」と思っていた人でした。しかし、無知すぎて慶應に入ることがどれほど難しいか分からず、塾の先生に乗せられて慶應を目指すことに。

もちろん、周囲は彼女をバカにします。「慶應なんておまえにはどうせ無理だろう」。しかし、彼女は努力をし続けるんです。「どーせむり」を知らないビリギャルは。そうすると周囲も彼女を見る目が変わってくるんです。そして、周囲の人間自体も変わってくるんです。無理だと思っていたことが無理じゃないことを知った周囲の人たちは、改めて自分のことを見つめ直すんです。

 

僕は、映画より先に植松さんのスピーチを見たんですが、これが言いたかったことかと思いました。これが、「どうせ無理」をなくすことで世界平和につなげるという、一見飛躍した論理の本質か、と思いました。

 

映画自体は本当に単純で一本道で、主人公が受験勉強して成績を上げて合格する、ただそれだけの話です。

しかし、そこに普遍的な挑戦をすることの素晴らしさとか、自分の限界を超える感動というものが非常に上手く描かれている映画。それが「ビリギャル」でした。

 

ちなみに

エンディングテーマはサンボマスターの「可能性」という曲。こちらも非常に良い曲ですが、僕はこの映画を見た後に、別のサンボマスターの名曲「できっこないをやらなくちゃ」を思い出します。

 


できっこないをやらなくちゃ/サンボマスター

 

やはり自分じゃだめかなんて無駄な言葉だよ

心を少しででも不安にさせちゃだめさ 灯りをともそう

 

 

 以上です。「ビリギャル」、グッとくるので、ぜひ見てみてください。