映画「ビューティー・インサイド」は外見と自己同一性をテーマにした名作

設定だけで「おお!?」と思わされる映画がこの「ビューティー・インサイド」。

眠りから覚めると外見が変わってしまう主人公の恋愛を描いた韓国製ファンタジックラブストーリー。男性、女性、老人、子ども、外国人など、目が覚めるたびに外見が変わるため、人に会う仕事ができないウジンは、インターネットを生かして家具デザイナーとして働いていた。ある日、家具屋で働くイスに恋をしたウジンは、彼女をデートに誘い、同じ顔を保つために3日連続で寝ずにイスと会う。しかし、眠気に勝てずに眠ってしまい……。

 起きるたびに主人公が変わるのです。なので、この映画の主演は123人!

 

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映画『ビューティー・インサイド』日本オリジナル予告編

 

 

脚本は、前に僕が別の記事でべた褒めした「カンナさん、大成功です!」のキム・ソンジュン。

あの映画もこのビューティー・インサイドも、容姿というものがどれぐらい自分の存在に影響を与えているかをテーマにしています。しかし、「カンナさん〜」が直球で整形という題材を使ったのに対して、この映画はもっと変化球な設定。「容姿」をテーマにしたいのに、「毎日顔が変わる主人公」って、何を考えたらそんなことを思いつくんだろうか?ゴールから発想したのかスタートから発想したのか分かりませんが、天才としか思えません。

そして、この突飛な設定ではありますが、決して「出落ち」で終わっていないのが見事なところ。ウジンが頑張ってイスと付き合うのは既定路線として想像できるのですが、そこは物語の折り返し地点。後半は顔が毎日変わる恋人に対してイスがどう折り合いを付けるかという話になっていきます。

見た目が変わるというおもしろおかしな要素で観る人の心を引っ張っておきながら、実はそれがただの比喩であったことが分かります。つまり、恋人の外見とか、ステータスとか、職業とか、そういう上っ面の全てが無くなった時に、それでもその人の心だけを見て、愛することができるのか、という話。

変化球でりながら王道ラブストーリー。それがこのビューティー・インサイドという映画です。Yahoo!映画で4.15点という高得点も納得な傑作。