傑作映画「イップマン 葉問」の感想と興味深い点

Amazonプライムビデオで無料だったので、端末にダウンロードして通勤電車の暇つぶしに観てたんですが、あまりに面白くて電車を降りて家についてからも一気見してしまいました。

 

 

中国ですごく流行った映画っぽいです。

 

ロッキーを中国拳法風味にしたような映画で、ストーリーはベタそのもの。だが、そこがいい。
主人公のイップマンは詠春拳という拳法の使い手。物語は、彼が香港で自分の道場を開くところから始まります。最初は全然門下生も集まらないのですが、イップマンは超強い&いい人なため、徐々に彼を慕う人が集まるんですが、そうすると今度は対立する流派が出てきたりしてすったもんだする。そんな感じの話です。
 
なんでしょうね、この手のストーリーのアクション映画なんて腐るほど観てきたはずなのに、すごく面白かった。主人公がいいやつなのに貧乏で苦労しながらも仲間を集めていくのとか、最初の敵役が実はちょっといいやつなのが分かって最終的にアレになっちゃうシーンとか、既視感すごい。なのに面白い。
アクションもすごいです。最近のアクションは割とCGだとかカメラワークだとかテクニカルな部分を重視していて、それはそれでおもしろいと思うのですが、毎回フランス料理ばかり食べてると飽きますよね。この映画は素材重視な感じで、主演のドニー・イェンのいぶし銀の格闘技が光ります。サモ・ハン・キンポーとか出てて、懐かしい。
古き良きジャッキー映画な感じです。昭和生まれの人は必見です。ジャッキーとか知らねえよって人でも、恐らくそのDNAにジャッキーは必ず組み込まれてるはずなので、絶対楽しめるはず。
 
 
で、ここまでが感想なんですが、興味深いのが前作の「イップマン 序章」も含めて、外国人が超絶嫌なやつに描かれているところ。
前作は日本人、今作がイギリス人が悪役なんですが、これがすげー嫌なやつ。
もちろん映画なんで勧善懲悪をすっきり描いているといえばそうなんですが、今ってハリウッド映画も含めてなかなかこういう他国をここまでむき出しの悪役にしてしまうケースって少ないんじゃないかなぁと思いました。
普通は「国」を丸ごと悪役にした場合、そいつにもいろんな背景があって悪役になっているけど根っこはいいやつとかって描写がチラリとあるじゃないですか。でも違うんです。360度悪者なわけです。
例えば昔のアメリカ映画ってすぐロシアの悪者が出てきましたが、最近だといろんなところに配慮してかそういうのって少なくて、世界征服を企むのはだいたい大金持ちの頭おかしいやつか中東のテロリストと相場が決まっています。それは、その2つであれば悪役にしてもいいだろう、悪役にしても視聴者は怒らないだろうって作り手が思っているからなんですね。
そこから考えると、イップマンという中国でとても流行った映画が、イギリス人と日本人をこういう描き方をしても怒られないだろうって思っているところが、ちょっと驚きました。
 
また、とはいうもののそれに反してまたおもしろいのが、「イップマン葉問」のラストでイギリス人を倒した主人公がこう言うんですね。
中国武術がボクシングより勝っているわけではない。わたしは信じている。人はそれぞれに身分の違いはあれど、その品格は同じで貴賎の区別はないと。今、この瞬間から私達が心を開き互いを尊重できるよう願う。」
これを見た瞬間、それまでよりさらに驚きました。その数分前までイギリス人の顔面を血まみれフルボッコして盛り上がっていた中国人観衆も含めて、みんなでスタンディングオベーション。キレイ事にしてもそりゃないだろ!って。
 
出典を忘れましたが、このセリフ、主演のドニー・イェンが言いたくてこういうセリフにしたんだとか。僕の完全な想像ですが、きっとドニー・イェンは国際人だし感覚的に、こんなに他の国を完全悪役にしてフルボッコにするのは違うよなーって思って、フォローしたんじゃないかなって思うんですよね。そんな風に「イギリス人は悪役にしちゃっていいよ派」と「いやいや、あんまりやり過ぎは良くないよ」の意見が混在して、恐らくそれが両方あるのが中国国民の一般的な考えで、映画に反映されているのかなーなんて思いました。
 
と、映画とあんまり関係ないところで締めてしまいましたが、ほんとにおもしろいです。
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