世界で二番目にひどい邦題は、映画「26世紀青年」。 - チャーリーより強いやつに会いに行く

世の中にはクソみたいな大人の事情でクソみたいな邦題をつけられた映画がたくさんあるけど、僕がよく聞くところによるとそのうちのナンバーワンは「バス男」だ。

出版社/メーカー: 20世紀フォックスホームエンターテイメント
発売日: 2006/01/13
メディア: DVD
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現代は「Napoleon Dynamite」なのになぜか電車男が流行ってて、主人公がバス通学しているというだけで「バス男」という邦題にしてしまって、でも内容が良いもんだからクチコミでクレームが募って、ついにフォックスが公式謝罪して「ナポレオン・ダイナマイト」に邦題を変更したらしい。すごい。

バス通学してるだけでバス男にされてキターーーー！！なんて言われたら、東京都民はほとんどがリアル電車男ですよ。

で、二番目は結構意見が割れていると思うのだけど、僕がクソだと思うのは「26世紀青年」だ。これはもちろん、当時20世紀少年が流行っていたからつけられたんだろうけど、主人公が中年のおっさんが活躍するってことぐらいしかおよそ共通点がない。たしかに26世紀に行くんだけど、それだけで、本当にそれだけで20世紀少年からパクって邦題をつけてしまった。こういう邦題を付けた便乗商法って、本当に売上に効果あるんだろうか？少なくとも原作へのリスペクトは皆無だよな。仕事だからしょうがないのか。

話はそれるけど、洋画タイトルをもじったAVって多いよね。僕はいつもパイパニックを思い出します。ああいうのも、どれぐらい売れているんだろう…

（参考）個人的「秀逸な映画パロディＡＶのタイトル」ベスト１０　カゲヒナタのレビュー

で、ようやく26世紀青年の感想に入る。

あらすじ

2005年、アメリカ陸軍は極秘裏に人間の冬眠実験を開始する。実験体に選ばれたのは平均的な能力を持った軍人ジョー・バウアーズと売春婦のリタ。1年間の計画だったが、極秘実験の責任者が麻薬不法所持と売春あっせん容疑で逮捕されたため忘れ去られ、二人は500年後の未来に目覚めることになった。500年の間、賢い者が子作りを控える一方で知能の低い人間が野放図に子供を作り続けた結果、平均IQが低下し堕落した社会となっていた。ゴミがひたすら積み上げられ、砂嵐が吹き荒れ、農作物は育たず、水の代わりにスポーツドリンクが供給されていた。元の時代に戻るためにタイムマシンを探すジョーは、周囲から馬鹿にされたり刑務所に収監されたりしながらも、この世界の生きている人間の中で一番のインテリであったため、内務長官に任命され、農作物の復活と砂嵐を止めさせられる羽目になる。

【映画】２６世紀青年 (2006) 日本版予告編 - nicozon

感想

この映画、何がおもしろいって、その設定だ。「バカばっかりが子供を増やすから、未来の世界はバカばっかりのディストピアになっている。」それだけ。それだけの設定がとても秀逸で、僕はめちゃくちゃに心ひかれた。これはSFの原点だと思う。SFのおもしろさの1つは、如何におもしろいIFの世界を作り上げて、思考実験をするかだと思う。そういう意味では、この設定は満点だと思う。なぜなら誰もが納得できる設定で、現実と地続きの近未来だから興味がある。

ただ、先に結論からいうと、この映画はおもしろくなかった！！

設定はおもしろいんだけど、つまらない映画ってのは残念ながらたくさんあって、この映画もその一つだった。そういう映画は何が足りないかっていうと、設定からの飛躍が足りない。この映画は、「バカばっかりが子供を増やすから未来はバカばっかり」という素敵な着眼点は持っているけど、「だからどうした？」が言えていない。驚きがないのだ。最初の設定を知った驚き、あらすじを読んだ驚き、それ以上のものが、映画を観ても特に発見できない。

※ちなみに、内容はコメディ映画なので、あんまり驚きとか求めるのも違うかもしれないんだけど…

ただ、それにしてもこの映画は脚本の活かせなさが非常にもったいないと感じてしまう。ひどいのは、何かにつけて展開の説明をナレーションで行ってしまうってところだ。「そこでジョーは◯◯することにした。するとどうだろう、△△が見事に解決した！」って、こんな具合なんだ。なにこれ、ドラクエか！映画ならナレーションじゃなくて映像と会話で説明しろ！このあたりは、脚本家の力量不足と、あまりにも突飛な未来と詰め込みたいことがありすぎて、ナレーションで誤魔化すしかなかったのかな…

ちなみに、半分ネタバレだけど、未来の世界はこんな感じになっています。