Startup Weekend Tokyo に参加してみた!ので、その感想。

※一ヶ月下書きして放置していた記事なので、若干時代遅れになってしまいましたが公開。後悔。


Startup Weekend Tokyoなるものに参加してきました!とても刺激的な体験だったので、レポート。

Event | Startup Weekend Tokyo http://tokyo.startupweekend.org/


※超長文のため、実際にどんなプロジェクトができたのか?だけを知りたい人は、後半から読んでもらうことをオススメします。


どんなイベント?

「アイデアから ローンチまでの54時間 No Talk. All Action.」がキャッチフレーズ。

Startup Weekendは、開発者、グラフィックデザイナー、マネージャーなど起業精神あふれる精鋭たちが結集して、54時間内に新しいコミュニティー、プロジェ クトや会社を立ち上げる、情熱的かつ創造的なイベントです。

どういう流れか?

  1. 参加者が集まり、お互いに軽く自己紹介した後にピッチ(自分のアイディアについてのショートプレゼンテーション)が始まります。アイディアを持って来た人は120秒でピッチを行います。
  2. ピッチが終わったら、20−30分くらい休憩をとるので、自分が興味を持ったプレゼンターに質問するなど、さらに交流を深めてもらいます。休憩の後、どのアイディアが良いか参加者全員で投票し、秀逸なものをいくつか選別します。
  3. 選ばれてアイディアの下に参加者が分かれ、チームを作ります。その瞬間からチームとしてアイディアの実現に向け全力疾走することになります。

今回のイベントでは80人程が参加。ピッチが40アイデア程。なので、ピッチ時間は60秒でした。で、その中から選抜された13のアイデアがプロジェクトとしてスタート。54時間かけて、日曜日の夜のプレゼンに向けてアイデアを練り、プロトタイプを作り上げます。

感想

いろいろ細かい話の前に、まずは感想を。以下はあくまで、僕個人としてのパーソナリティに基づいたものですが。(大手SIerの営業で、畑違いのスタートアップとかに憧れていて、Webサービスとかモバイルとか大好き!みたいな人)
めちゃくちゃおもしろかったです!
期間は5月20日の19時から5月22日の20時30分ぐらいまで。休日に朝から晩まで新しいサービスのことを考えて、議論して、調べて、資料作って、思っていたよりかなり披露がたまる3日間でしたが、それでも行って良かったなぁと強く感じました。
出会った人はみんなスタートアップの人で業界事情にとても詳しい人ばかりで、デザイナーやらデベロッパーやらで実際にモノづくり出来る人たちも多く、さらに誤算なことに英語を結構使う(今回の参加者は震災の影響で外国人が少ないと言われていたのに、我がチームの3分の1は外国人!)っていうのもあり、僕はかなり参加者の中で底辺な存在でアップアップでしたが、それでも充実していました。
「次またこのイベント開催されたら行こうかなー」って思っている僕と同じような人がいたら、僕は迷わず行ったほうがいいと勧めます。英語ができなくてわけわからなくなったり、自分に強みがなくてプロジェクトに貢献できることがないと思っていたりしても、行ったほうがいいです。バックグラウンドが違う人達と議論しまくって、考えたものが形になっていくのを横目で見ているのは、普段味わわない感動です。
週末の予定全部潰すということで、デートがあったり飲み会があったり仕事があったりで忙しいしなーと思っている人も、そんなの全部ブッチしてでも行ったほうがいいです。

どんな雰囲気だったか?

初日

初日は、金曜日の夜に集合。

まずは、アイスブレイクとして、「おもしろサービスを考える」みたいなことを、即興で行いました。グループは適当に割り振られた6人ずつぐらい。

で、そのあとついに本題がスタート。初日の山場、「エレベーターピッチ」です。
ここでは、それぞれ自分の企画を考えてきた人たちが、「この企画やろうぜ!」と参加者に向けてプレゼンをします。ルールは、一人60秒。そして、いっさいの道具なし。パワポの資料等も無しで、口頭でアイデアをプレゼンします。
40アイデア程が1分ずつ喋るということで、かなりの長丁場。ちなみに、僕も参加しました。テーマは「恋するチャンスを作るサービス『サシ飲み』」。
喋りたい人が前に並んで、1分ずつでどんどん回していくのですが、何分時間が短い!要点だけを説明するのはかなり難しく感じました。
聴いていて思ったのは、正直な話、みんな何が言いたいのかよくわかりません!たぶん半分ぐらいは、「それ、どこが新しいの?どこがすごいの?」と言った感じでした。(もちろん、自分も含めてだとは思いますが…)
たぶん、話している人は自分のアイデアに夢中になっていて、「ここがポイントだ!」ってのを言わなくても分かっているのでしょうが、聴いている側からはなんのこっちゃわからないまま終わってしまうことが多かった気がしました。
※ですので、もし次にStartup Weekendに出る人がいたら、絶対プレゼンしたほうがいいですよ!みんな、アイデアなんて案外普通なんだから!

その後、みんなが話し終えたら15分ぐらい、自由に質疑応答の時間が設けられます。ここでは、各自プレゼンした人がフロアに散らばって、詳しく聞きに行きたい人はプレゼンをした人に話しに行きます。

そして、それが終わったらみんなで投票!!投票された中で、上位13組がプロジェクトとして発足します。僕の企画は、サクっと中位ぐらいで落ちました。泣。

プロジェクトが決まったら、今度はチームビルディングを行います。これは、プロジェクトの発案者以外の人が、単純に好きなプロジェクトに集まる、というもの。デザイナー・エンジニアがバランスよくいるチームがいいみたいです。そこらへんは、みんな空気を読み合って集まりました。
そんなこんなで、一日目は終了。23時でした。

二日目

朝の9時から集合!昨日決めたチームで自己紹介を交わして、プロジェクトスタートです。僕らは、「ポイントカードをモバイルに集約する」プロジェクト。ポイントカードって、たくさん財布の中に入っていて邪魔ですよね?これをどうにかしてケータイ端末に全部入ってたらいいなーっていうサービスです。
※このイベントのすぐ後に、この記事が出ててびっくりしました。

チームにはデザイナー2人、デベロッパーが2人、後がマーケの人だったり企画の人だったりで、計9人。うち3人が外国人。

僕は最初は、「プログラミングもデザインもできないし、俺何やるんだろうなー」と思っていましたが、3日間だと手を休める暇なんてないですね。2日目は、途中に食事休憩や起業家の講演を挟みながら、ひたすらサービスの仕様を詰めました。「どこをサービスの一番のポイントとするか?」、「何を解決するか?」を考えを詰めていくと、ぐるぐるぐるぐると話が尽きません。

「話していても埒が明かないので、現地調査に行こう!」と会議室からすぐの恵比寿の街に繰り出し、ポイントカードの店舗、通りすがりの人にインタビューも繰り出しました。が、逆に「ポイントカードのモバイル化なんていらなくね??」という悲しい結論に陥ったりもして、この日は散々でした。
で、二日目の途中からもうモックアップを作り始める予定だったものの、全然仕様が決まらず実際の製作は三日目に持ち越し…23時までフルで頭を動かして、かなり疲れました。

三日目

この日も朝の9時から集合!この日は朝から「製作チーム」と「プレゼン資料作成チーム」の2班に別れて活動開始!
「製作チーム」は3日目夕方の成果プレゼンのときに動く、アプリのモックアップを作成。「プレゼン資料作成チーム」は、プレゼン時に説明するサービスの内容やマネタイズ、市場調査などをまとめました。僕はこっち。

この日は全然資料が間に合わずやべーやべーと思いながら、初めて作るサービスに感動していました。
僕は今までそういうの、完璧使う側で作ったり、作られているところを見たことがなかったんですけど、プログラミングとかデザインとかできる人ってすごいですね。ささっとあんなことが出来ちゃうのかー、と新しい世界に驚きました。また、マーケティングの人も、相当こういった新サービスの説明資料を作り慣れている感じで、頼もしかったです。やっぱプロは違うなぁ。僕は会社での仕事は全然こういったことではないので、新鮮でした。

で、夕方18時から各プロジェクトでプレゼン開始!発表されたプロジェクトの概要はこの後に書きます。どれも完成度が高くて、3日間でこんなのができるのか!とびっくりするものばかりでした。実際に、この後リリースされたりプロジェクトが継続したサービスも多くあります。
僕らのプロジェクトは、残念ながら受賞することはできませんでしたが、めちゃくちゃ濃密な3日間に僕は大満足でした!

おまけ

このStartup Weekendの素敵なところは、実際に新サービスを作る体験ができるだけではなく、新たな人脈が広がるという点もあります。
みんな「Tech Crunchは全部読んでます!」みたいな人ばかりで、何か新しいものを作りたい!という熱い人ばかりでした。
「こんなところで人脈なんていっても、上辺だけだろ!」って思う人もいるかもしれませんが、実際に僕のチームの日本人社長が、外国人のデベロッパーを社員として雇うことになったりもしました。縁ってこんな風に使うんですねぇ。

実際のプロジェクト内容

以下に、発表されたプロジェクトを紹介します。

iTerm

Webサービスを使っていて、いろんな利用規約を読むのがめんどくさい人って多いですよね?iTermsはWeb上を自動でクロールして利用規約をスクリーニングし、自分が新たなサービスの利用規約を読むときに、他の一般的な利用規約とどこが違うか(どこが特殊か)、を教えてくれるサービス。
ちなみに、最初のピッチでは「Fuck Term」という名前でしたw
「最もEdgeが効いたサービス」賞を受賞。
僕は個人的にこれが一番欲しいサービスでした。

KitCat

オンライントレーニングサービス。
これまでの本やビデオ、オンラインでの類似サービスと違うのは、有名人(著名プログラマー等)に”弟子入り”するような仕組みであること。「この師匠のお墨付きだから、この人はきちんと勉強した、能力が高い人なんだろう」ということで、企業の採用担当に売り込める。生徒・教師・リクルート先の企業の3者をマッチングさせるまでをサービスとしています。

QLive

QLiveは質疑応答を共有します。
これまで、講演会などで時間がなくて満足な質疑応答ができずに終わってしまったことはないでしょうか?質問がある人は、オンライン上でQLiveに投稿します。画面上にはたくさんの質問が上がっていき、各質問には「いいね!」ボタンのようなものが付いています。「いいね!」が多い質問は、画面のトップのほうに上がっていきます。
リアルタイムで質問回答者はたくさん「いいね!」が押された質問を答えてもいいし、イベント後に回答してもいいです。
実際の動画デモはこちら。

完成度がめちゃくちゃ高くて、すぐに利用シーンが想像できるのが素晴らしいです。
今回のStartup Weekend Tokyoで総合優勝したプロジェクト。
http://qlive.co/

Trippal

Trippalは、ローカルとビジターの情報共有をテーマとしたサービス。
検索したい土地名を入れると、写真がたくさん表示され、重要度や評価の高い画像が大きく、新しい写真が全面に出てくる仕組みです。
既存のサービスと違うところは、インターネットをクロールして集めた画像ではなく、ユーザに写真を投稿してもらうというところ。それにより、いわゆる観光産業が推しているスポットだけでなく、地元民に愛されているスポットも探せるんだとか。そのコンセプトに、サービスの思想とか愛を感じました。

10minutes

学びたい人と教えたい人を結びつける動画コンテンツサービス。
自分では全然分からないことでも、分かる人なら10分で教えられることってありますよね?そういった小ネタをたくさん集めた動画サービスが、これ。
教えてもらいたい人はリクエストを投稿し、教えられる人は10分で動画を作って投稿します。それを、10minutesのサイト上でテレビ番組の用に観ることができます。

MYSIC.FM

今回、最も本格派なプロジェクトがこのMYSIC.FMだと思いました。誰もが、たくさんの電子デバイスを持っている時代。自分の音楽をデスクトップPC、ノートPC、スマートフォン、そういったものに簡単に共有し、一元管理できるのが、このサービス。DropboxにデスクトップPCから音楽を放りこみ、それをどこでも聴けるようにする。iTunesとも共有可能だとか。
似たようなサービスがいくつもあると思いますが、成否は実際に出来たプロダクトの使い勝手にかかっている気がします。
サイトはこちら。また、こちらでインビテーションを受けられます。

似たサービス:Simplify MediaAudiogalaxypopiplug

AHO

アホによるアホのためのアホ共有サイト。「アホね!」ボタンとか、もう本気なんだかアホなんだかよく分からないアイデアです。
サイトはこちら。

もちろん、「もっとも笑えたサービス」はこちらの企画が受賞しました!

Coordy

ネットで服を購入したことのある人はいますか?マッキンゼーの調査によると、79%の人が購入した際に不快な経験をしていて、サイズの違いによるものが、33%だそうです。
Coordyは、本人の写真や体の寸法をもとに、モバイルアプリの画面上で服を試着できるコーディネイトサービスです。
「もっともプレゼンが良かったサービス」に選ばれました。

Colish

これまでのシェアハウスは「どこに、いくらで住むか」が重視されていたが、本当はシェアハウスに住む人は、「誰と、どんなライフスタイルで住むか」を重視したいというもの。
Colishでは、そういったコンセプトベースのシェアハウスを支援します。海外ではシェアハウス文化が盛んなので、まずはCraigslistを利用してマッチングを行い、シェアハウスを貸し出す大家さんの広告でマネタイズをするようです。
今回、「もっとも実現性があるサービス」に選ばれました。

サイトはこちら

日本でも、ギークが集まるギークハウスや起業家が集まるサムライハウスなんてのがありますね。

JAWANT

海外の人向けに、日本の商品を送るサービス。
日本のECサイトは海外発送をしていないところが多いので、これまで海外の人は日本にいる友達に買い付けてもらって、送ってもらう、という形が多かった。「そんなふうに、海外の日本の商品が欲しい人の友達になってあげる」サービスがJAWANT。
海外の人が画像を元に「この商品が欲しい!」とリクエストを行い、それを日本のユーザが探して海外の人に送ります。さらに、データが蓄積されればレコメンドも行います。
似たサービスとしてflutterscapeというものがありますが、こちらは日本の商品を海外向けに売るECサイト

MeeTune

「Share Future」をテーマに、友だちと空いている予定を共有するサービス。
具体的な仕様は決まっていないところも多いみたいでしたが、要は暇な友達に連絡を取りやすくして、自分の予定を充実させよう!って感じ。これまでの様々なツールでは、現在の予定・過去の予定の共有はできているが、未来の予定を共有できていなかった、というのが問題意識の出発点です。
「もっとも投資されそうなサービス」に選ばれました。

Point Upp

「財布の中のポイントカードが多すぎて邪魔」っていうのは、誰もが感じたことがあることだと思います。Point Uppではモバイル上でそれを一括管理し、「すべてのポイントカードを一つにまとめる」ことを目指します。
ターゲットとなるポイントカードはヤマダ電機やTSUTAYA等のシステム化された大型チェーンカードではなく、地元の小規模飲食点のスタンプカードだったり、美容院・スーパー等にある紙のポイントカードなど。
お店へのシステム導入は不要。お客さんがアプリ登録した画面やケータイで登録したマイページをお店に見せれば、お店はケータイ電話でそれをQRコードorユニークIDを読み取って、ポイントを付与/使用します。

自分のプロジェクトだったから言うわけではありませんが、iTermと並んで、今回最も実現してほしいサービスの1つです。なんで誰か早くやらないんでしょうか。。。。儲からないのかなー。

ちなみに、この発表の次の日に、Tech Crunchの記事でSquareが似たようなことをやろうとしててびっくりしました。あっちは元々クレジット決済のサービスですが、それを元に様々な顧客囲い込みやマーケティング支援をするのは、自然な流れですよね。ただ、日本はアメリカに比べてクレジットカードへの心理的抵抗が根強いので、ちょっと違った形にローカライズされたサービスが出る気がします。

Magnetty

大人数が集まるイベントで、おもしろそうな人がいっぱいいるけど、その人のバックグラウンドが分からないと自分は誰と仲良くなるべきか、が分からなくて、もったいない経験をした人は多いはず。Magnettyは、本当に会いたい人に会えるサービス。
参加者のネットワークを可視化し、それらはタグ付けされていて、タグを選ぶと会うべき人が出てきます。また、友達に推薦文を書いて、それが蓄積され、その人がどんな人かが分かるようになり、それもまたデータベースとして蓄積されます。イベントの参加者全ての人をハッピーにする、データ蓄積でコマースに広がる、オーガナイザーを組織することで、新たなマーケティングにつながる。この3つをサービスのバリューと言っていましたが、たしかに今回のStartup Weekend Tokyoでも、誰がどんな人か、事前に分かっていたらよりおもしろくなるだろうなぁと思いました。

以上です。

また、発表時のつぶやきをTogetterにまとめました。これらのプロジェクトに対して、いろいろな人のコメントが寄せられています。
Togetter - 「Startup Weekend Tokyo 最終プレゼンまとめ 2011年5月22日」